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大人の科学実験村 第3回 雪のパラボラアンテナで海外の衛星放送を受信せよ!

今回参加の村民

編集部員4名、写真部員1名に加え、参加希望読者の中から厳正なる抽選の結果、以下の5名に集まっていただいた。

斎藤 政与志さん

自宅で世界の衛星放送を観る衛星受信の達人。今回唯一の専門家。

鈴木 浩さん

パソコン教室を主催するテクニカルライター。弓曳童子に夢中

稲垣 千絵子さん

いろいろな現象に感動する詩人マンガ家。四次元の世界を追究中。

脇田 徹さん

仕事はIT関係だが、実は川柳と鳴く虫を愛するナチュラリスト。


協力/車山高原スキー場 猪野建設 瀬沼俊彦 竹内幸一
文/かなざわいっせい 写真/加藤啓介 イラスト/加藤 徹

 実験好きが集まり、朝から晩まで実験に明け暮れる、架空の楽園(?)、その名も「実験村」。第3回のテーマは「パラボラアンテナ作り」。なんと、長野の山奥で、雪を使って巨大なアンテナを作り、海外の衛星放送の電波を受信しようというのだ!

村長湯本がつきつけた宇宙への挑戦状!
はるか上空3万6000kmに浮かぶ衛星の電波をねらえ!

 実験村末端職員の西脇主任は、湯本村長のことを陰で、無理難題氏と呼んでいる。今回も来るぞ⋯と身構えて村長の前に立った。
「04号の『大人の科学マガジン』のふろくはラジオキットだったな?」
村長の問いに西脇はうなずく。試作品は既に出来上がっております、横から金子助役。
「じゃあ、実験村も電波で行こう。巨大なパラボラアンテナを手作りして、海外の衛星放送を受信する。とうとう宇宙に挑戦する時が来たな。ワクワクするなあ、え、主任?」
ど、どうやってそんな物を作るんですか?
西脇は一歩退き、金子は反対に村長との距離を一歩詰めながら、二人は同時にそう訊いた。
「山にはまだ雪がある。雪で直径3mくらいのでっかいパラボラを作る」
湯本村長は宙を見上げたあと、早速、資料収集にとりかかれ!の命令を下した。無理難題は発射されたのである。金子と西脇はとにかくその方向に向けて走り出すしかない。パラボラ、人工衛星関係について調査すること10日。
雪で直径3mのパラボラを作ることは可能、雪は加工しやすく、素人でも修正しながら、ある程度精度の高いものを完成させることができるらしい。
しかし、衛星からの電波を受信するのは素人では無理とのことで、日頃から海外の衛星放送を受信している斎藤政与志氏にスーパーアドバイザーをお願いすることにした。


ウオッカを飲みながらロシアのテレビを観たい!

標高1925mの山頂には気象庁の気象観測レーダーがある。白い球(レドーム)の中には直径4mの巨大なパラボラアンテナが入っている。強力なライバルの出現に闘志を燃やす村民。

 実験場所は長野県車山高原スキー場。ねらうのは比較的強い電波を発しているロシアのゴリゾン衛星、その位置は地球から3万6000キロの彼方、方位角168.6度、仰角47.5度。第一信はロシア美人のハラショーの甘い声か⋯、ウオッカを飲みつつトルストイの国からのテレビ放送を観ようではないか。

 3月13日午前6時半、ワンボックスカーに器材を積み込み、実験村隊員は信州へと走り始めたのである。が、西脇主任は、正規の積載重量よりもほんの少し軽いということに気づいていなかったのだ…。

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