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第10回 世界初挑戦!「レーザー空気望遠鏡」で土星を狙え!

「レーザー空気望遠鏡」のしくみ

本来の空気望遠鏡には、レンズとレンズの間に頑丈な支柱と横からの光を遮る遮光板がある。今回は、その支柱も遮光板も取り払い、レンズとレンズの間には、文字通り空気しかない望遠鏡を作ってみることに。

問題は、2枚のレンズの光軸をどうやって合わせるかだ。14mも離れた場所にある2枚のレンズの向きを合わせて、星からの光がレンズを通って一直線に目に飛び込んでくるようにするのは至難の業である。

しかも、星は常に動き続けるので、観測し続けるにはレンズの位置もそれに合わせて移動させる必要がある。

岡村先生のアイデアで、光軸合わせにレーザー光線を使うことにしてみたが、最新鋭(?)空気望遠鏡の実力とは?

レーザーで2枚のレンズの光軸を合わせる

対物レンズの両脇から、レンズに垂直で、かつ平行な2本のレーザー光線を接眼部に向けて照射する。そのレーザーを接眼レンズの両脇の的に垂直に当てることで、2枚のレンズの光軸を合わせる。

実際のところ垂直かどうかは怪しいが、実験では、この方法でだいたいの光軸を合わせることができた。レーザー光線は目に入ると大変危険なので、光軸合わせのときだけ照射し、観測するときは消した。

対物レンズが土星を自動追尾して動くのに合わせて2本のレーザーも動いていく。そこで、レーザーが的から外れないように接眼レンズを少しずつ移動させていった。しかも、2枚のレンズの間隔はそのつど糸ではかりながら14mを保った。

 

その昔、色消しレンズがなかったころ、色収差を無視できる範囲で倍率を上げるには、焦点距離を長くしなければならなかった。そのため長大な空気望遠鏡が誕生したのだ。

自動追尾装置は、ピクセンの「スフィンクス」を使用

「スフィンクス」は天体ナビゲーション機能を搭載した赤道儀だ。世界初の大型カラー液晶画面付コントローラー「STAR BOOK」(標準装備)に表示された星空の地図の中から、見たい天体を選んでボタンを押すだけで(初期設定は必要)、内蔵されたモータードライブで天体望遠鏡が自動的にその天体に向く優れもの。もちろん日周運動で動いていく天体を自動追尾!

  高性能を誇る水戸二高地学部の10m空気望遠鏡

望遠鏡本体は、アルミのL字アングルと木の合板で組み立てられている。レンズだけはレンズ専門業者の日高光学研究所に製作してもらったが、パラレルリンクを使った昇降装置や経緯台など、すべて部員の手作りだ。2002年の初観測で、土星の縞模様や輪、カッシーニの間隙を確認できたほどの高性能。

←鏡筒の組み立て作業
↓高校の屋上に
 設置した空気望遠鏡

水戸第二高等学校・地学部HP

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